演出コメント【悔恨と贖罪】

今回は大竹野正典さんの『密会』を上演させていただきます。

旗揚げ以来2回目となる日本語の既成脚本。実在事件を扱った、非常に繊細に取り組むべき作品です。

1981年(昭和56年)6月17日午前11時半ごろ、一人の男が、路上で6人の方々を殺傷しました。

事件から38年が経った今も長慶寺の慰霊碑にはお花やお人形が供えられ、遺族の方々が毎年、新しい卒塔婆を建てに訪れています。

日々パッと目にとまっては消えていく、たくさんの事件たち。罪を犯した人と、そうでない人の境目は、どこにあるのでしょうか。そもそも、境目なんて、あるのでしょうか。

まわりみち'39が焦がれるのは、人間の力。

もう変えられなくなってしまったもの…

もう終わって、変えられなくなってしまった事実、

今も傷を残すその過ちを鑑みて、

これから先の社会に、私たちの行動に、繋げる術を考える。

私たちには過去を乗り越え、未来を変えていく力がある。

この作品はある意味、まわりみち'39にこそふさわしい演目です。心の中で手を合わせながら、誠心誠意、つくらせていただきます。


  劇的集団まわりみち’39 斜あゐり


深川通り魔殺人事件について

 この物語の元になった事件は、1981年(昭和56年)6月17日午前11時35分頃、東京都江東区森下二丁目の商店街の路上において発生した無差別殺人事件「深川通り魔殺人事件」だ。

 犯人・川俣軍司が、森下二丁目付近の路上にて、柳刃包丁で幼児を含む4人を殺害、2人に重傷を負わせたのち、通行人を人質に中華料理店に篭城した事件である。


 きっかけは一本の電話だった。

 就職を断られた川俣は逆上し、おもむろに取り出した柳刃包丁で無関係な人々を次々に襲った。

 まずはじめに、対向から歩いてきた主婦、長野るみ子(当時27歳)が押していた乳母車の上の赤ん坊、博明(当時1歳)の腹部を正面から2回、悲鳴をあげ逃げようとしたるみ子の背中を2回柳刃包丁で突き刺した。さらに呆然と立っていた長女の統子(当時3歳)の胸部を4ヶ所にわたって滅多突きにしたあと、もう一度博明の胸部を刺してトドメをさした。

 路上に倒れた長野親子周辺には、おびただしい血が飛び散り、乳母車や保育具が散乱する状況は、生きながら地獄を見る惨状であったという。

 川俣は凶行を続け、買い物帰りの主婦、二本松美代子(当時33歳)の上腹部を突き刺して惨殺。

 近くのバス停でバスから下車してきた加藤貞子(当時77歳)の大腿部を一回突き刺し、さらに騒ぎを聞きつけて店舗内から表に出てきた吉野千鶴子(当時39歳)の腹部を突き、4人が死亡、2人が重傷という大惨事になった。

 その後川俣は、包丁の刃先が5ミリほど欠けていることに気づき、これ以上は婦女子を殺害出来ないと考え、付近を通行していた石塚真里(当時33歳)の喉元に柳刃包丁を突きつけて脅し、近くの中華料理屋『萬來』に引きずり込み、彼女を人質に約7時間も立てこもった。

 立てこもった川俣は「電波でひっついてる役人を全員連れて来い」と要求。

 これまでに彼をクビにしたり、不採用にした経営者たちを呼びつけ、事件現場を中継するテレビ局のカメラの前に引っ張り出して大恥をかかせ、店をつぶしてやろうと考えたという。

 篭城から7時間後、人質の女性が一瞬の隙をついて店外へ脱走、その瞬間入れ替わりに警官隊が突入し、柳刃包丁をふりかざす川俣を逮捕した。逮捕され衆目に曝された川俣は、ブリーフにハイソックスという異様な出で立ちと、その憤怒の形相をセンセーショナルに報道され、人々の話題となった。


 川俣は1983年(昭和58年)1月6日、無期懲役が確定。現在も服役中である。


公演概要

【日時】
2019年9月
13日(金)19:30★ / 14日(土)14:00★・19:00★ / 15日(日)11:00・15:00★

★印の回はアフタートーク開催! 登壇者(敬称略)
13日(金)19:30 山口洋典(立命館大学 共通教育推進機構 准教授)
14日(土)14:00 加藤貞雄(studioD2) 戒田竜治(應典院寺町倶楽部 事務局長)・19:00 土橋淳志(A級MissingLink) 土井亘(ドットアーキテクツ) 天ポラルズ
15日(日)15:00 「くじら企画」よりシークレットゲスト!


【チケット】
早割 (8/31(土)までのご予約):3,000円 一般・当日:3,500円
應典院寺町倶楽部会員:3,000円    


キャスト・スタッフ

【キャスト】

◆慶雲

◆モモトモヨ

◆Nowhere Man 

  (以上劇的集団まわりみち'39)

◆稲森誠(ENTER TOP)

◆チェサン(team児雷也忍法帖/石見神楽大阪社中)

◆上野貴彦(ENTER TOP)

◆仲野元貴(FROM51)

◆中竹麻衣 (劇団1mg)

◆河上由佳 (満月動物園)

◆濱ノ上元子

【スタッフ】

舞台監督:関川佑一(S-pace)/照明:高口綾/照明操作:高口綾・堀越美草/音響:浅葉修(Chicks)/空間構成:天ポラルズ/制作:劇的集団まわりみち’39/制作協力:濱ノ上元子/宣伝美術:モモトモヨ/WEB広報:七色からす/写真撮影:山田淳二

【協力】

ENTER TOP、team児雷也忍法帖、石見神楽大阪社中、FROM51、劇団1mg、満月動物園、S-pace、Chicks、羽田兎桃、げきだんS-演s?、真紅組、dysmic entertainment、ワンダーラーワールド、おうさか学生演劇祭、立命館大学、studioD2、A級MissingLink、ドットアーキテクツ、baghdad cafe'、くじら企画、春日軒、應典院寺町倶楽部、浄土宗應典院 (敬称略)


会場

浄土宗應典院 本堂

大阪市天王寺区下寺町1-1-27

TEL:06-6771-7641
FAX:06-6770-3147
E-mail:info@outenin.com
http://www.outenin.com/


大阪メトロ谷町線「谷町九丁目」駅 3番出口 西へ8分

大阪メトロ堺筋線・近鉄「日本橋」駅 8番出口 東へ9分

【劇団お問い合わせ】

劇団ウェブサイト:劇的集団まわりみち'39

メール:mawarimichi39★yahoo.co.jp( ★を@(半角)に変えて下さい )

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